健康経営優良法人認定制度

1.健康経営とは

健康経営は国が主導して推進していますが、その背景には、国民医療費の増大生産年齢人口の減少があります。

国民医療費の推移

出典:「企業の健康経営ガイドブック」(経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課発行)

また、定年年齢の引き上げに伴い、従業員の平均年齢が高くなっているため、従業員およびその家族の健康という要素が、企業経営に大きな影響を与える可能性が生じています。

企業にとって、従業員の健康維持・増進を行うことは、医療費の適正化や生産性の向上、さらには企業イメージの向上等につながることであり、そうした取り組みに必要な経費は単なる「コスト」ではなく、将来に向けた健康投資であるととらえられているのです。

健康投資のイメージ図

出典:「企業の健康経営ガイドブック」(経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課発行)

わが国の平均寿命は過去最高を更新していて、労働人生が長くなる中で一人ひとりがパフォーマン スを発揮し続けられる社会基盤の構築が求められています。
従業員のパフォーマンス発揮には、プレゼンティーイズム(presenteeism)への対応の必要性も 指摘されています。プレゼンティーイズムは、欠勤には至っていないものの、健康問題が理由で労働生産性が低下している状態を指します。
企業の健康関連コストの 75%をプレゼンティーイズムが占めるという研究結果もあり、 コストとパフォーマンスの両面から課題となっています。

従業員の健康関連コストの全体構造(米国金融関連企業の事例)

プレゼンティーイズムに伴う損失は、アブセンティーイズム(病欠)による損失や医療費よりも企業における健康関連総コストに占める割合が高いと示されていて、コストの側面から企業の生産性向上を阻害する大きな要因と指摘されています。

2. 健康経営のメリット

従業員の健康状態がよくなることで欠勤率が低下し、仕事に対する集中力も向上しますので、労働生産性の向上につながります。

出典:「健康経営の推進について」(厚生労働省ヘルスケア産業課資料)

国は、健康経営を促進する一環として、2016年度から健康経営優良法人認定制度を実施しています。

2023年度からは、経済産業省が株式会社日本経済新聞社に委託して実施されています。

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「健康経営優良法人」に認定されると、認定法人として情報が公開されるため、社内・社外から健康経営を実施している企業としての評価が得られます。

さらに、金利や融資の優遇措置、健康経営に関連する助成金の支給、自治体が発注する工事などの公共調達の加点、保険料の割引が受けられるなど多くのメリットがあります。

また、健康経営を行うことによって、従業員等の労働生産性の向上等が効果として現れ、売上高や利益率、ROE(自己資本比率)といった財務指標の向上につながることが期待されます。

健康経営を開始した年を「0」とした際の、5 年前から5 年後までの売上高営業利益率の 業種相対スコア(業種内において健康経営を推進した企業等の利益率が相対的に高いか低いかを把握する指数)の平均値を比較したところ、健康経営を開始した後は、売上高営業利益率の業種相対スコアが改善傾向にあるという分析結果も出ています。

出典:「健康投資管理会計ガイドライン」(経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課発行)

なお、健康経営優良法人に認定されるには以下のような認定要件を満たす必要があります。

コミュニティヘルスラボでは、健康経営の具体的な推進計画や実際の取り組みの評価・改善など、健康経営優良法人申請手続きのサポートも行っております。

詳細については、お気軽にお問い合わせください。